三半規管は3つの半規管の総称です。
耳には音を聞く働きのほかに、体の平衡を保つ働きがあります。
三半規管とめまいのしくみ、平衡感覚に関係する構造を考えてみましょう。
三半規管のしくみ

出典:memai-navi.com/chishiki/genin01.htm
耳にある器官で平衡感覚に深くかかわっているのは、蝸牛の隣にある三半規管と耳石です。
三半規管
三半規管は、ひとつの器官と思っている人が多いかもしれませんが、実は、「外側半規管」、「前半規管」、「後半規管」の3つの半規管の総称です。
この3つの半規管によって人間は三次元空間を感知できるのです。
具体的には、外側半規管が水平回転を感知し、前半規管と後半規管が垂直回転を感じ取ります。
三半規管はリンパ液で満たされていて、頭や体が動くと内部の液体が流れます。それを3つの半規管にある感覚細胞が情報としてとらえ、電気的な信 号にして前庭神紙を介して脳に送るの です。
耳石器
三半規管が頭や体の動きをとらえるのに対し、耳石器はその傾き具合を感知します。
耳石器は炭酸力ルシウムでできた2つの小さな結晶(耳石)で構成されています。体が傾くと耳石がずれて、隣接する感覚細胞でそのずれをとらえるようにできています。
耳石器は遠心力や重力で傾いたときも、頭や体がどの方向に押されているかを感知します。
耳石器の感覚細胞でとらえた情報は、電気的刺激に変換されて前庭神経を通して脳に伝えられます。
つまり、人間がまっすぐに立ち、転ばずに歩いていられるのは、このようにとても繊細な働きをする内耳にある三半規管と耳石器のおかげといえるのです。
三半規管とめまい
三半規管と耳石器のある内耳に何らかの障害が起きると、平衡感覚を保てず左右に揺れるようなめまいを感じます。
例えば、メニエール病は内耳のリンパ液が増える病気です。体のバランスは、平衡感覚、視覚、体性感覚の3つで保たれています。
めまいの原因になる平衡感覚
平衡感覚を司るのは、内耳の三半規管と耳石器、さらに前庭神経、脳の一連の経路のということになります。
内耳に現れる障害が原因となって起こるのが、メニエール病、良性発作性頭位めまい症、内耳炎、突発性難聴、外リンパろうなどの病気です。
メニエール病は内耳の中のリンパ液が増える病気、良性発作性頭位めまい症は、耳石に関する障害。内耳炎は内耳の炎症です。
前庭神経の炎症でもめまいは起きることがあります。内耳が正確に情報をとらえていても、前庭神経に異常があると、めまいの原因になります。
前庭神経炎、ラムゼィ・ハント症候群、初期の聴神経腫瘍などがこれにあたります。
三半規管等の「耳が原因のめまい」は耳鳴りを伴う
前庭神経炎は、前庭神経の炎症でめまいのみで耳鳴りが起こらないの特徴です。ラムゼイ・ハント症候群はウィルスの感染、聴神経腫瘍は前庭神経などにできる腫瘍です。
このように耳の器官の障害によるめまいは、耳鳴りを伴うケースが多くなります。
それは、平衡感覚を司る前庭神経と 聴覚を司る蝸牛神経が隣り同士にあり、一方に障害が起きるともう一方に影響を与えやすいからです。
また、耳鳴りのときと同じく、内耳、前庭神経までに異常がなければ脳の障害によるめまいという可能性が高くなります。