めまいの原因となる病気はさまざまですが、病院を受診するといずれの場合も薬物治療が中心となります。
このページではめまいの薬としてよく使用される薬について、解説しています。
めまいで処方される薬の働きや効果をご自身でもぜひ覚えておきたいものです。
目次
めまい治療の薬
抗めまい薬
内耳の末梢神経を拡張して血液循環をよくする薬です。めまいや吐き気を抑えると同時に、神経の興奮を鎮める働きもします。
メニェール病などによく処方され、 めまい発作の予防にも効果があります。
代表的な薬としては、ベタヒスチンメシル酸塩(メリスロン)などが挙げられます。
薬品名(商品名) | 製剤名 | 効果 |
メリスロン® | べヒビスチンメシル酸塩 | 内耳の血流量を増加 |
イソメニール® | イソプレナリン塩酸塩 | 血流をよくし、内耳を正常化 |
セファドール® | ジフエニド一ル塩酸塩 | 前庭神経の調整作用、血流改善 |
めまいの不安を和らげる抗不安薬
めまいに対する不安や緊張を和らげる精神安定薬です。
めまいはストレスや神経過敏と関係があるので、不安や緊張をほぐすことで症状を軽減させる効果があります。うつ病などに由来する症状によく効きます。
代表的な薬には、ジアゼパム(セルシン)、タンドスピロンクエン酸板(セディ—ル)などがあります。それぞれ目的が違うので、不安があるときは医師に確認しましょう。
薬品名(商品名) | 製剤名 | 効果 |
セルシン®/リゾン® | ジアゼバム | 穏やかな作用で不安や緊張感をほぐす |
ソラナックス®/コンスタン® | アルプラゾラ厶 | パニック障害によるめまいに有効 |
メイラックス® | ロフラゼブ酸エチル | やや強めの作用で不安と緊張感をとく |
セディ一ル® | タンドスピロンクエン酸塩 | 脳内のセロ卜ニン受容体に作用 |
浸透圧利尿薬
浸透圧利尿薬は利尿作用によって体内の余分な水分を排出させる働きがあります。
メニエール病は内耳のリンパ液が過剰に増えることによって起こる病気です。浸透圧利尿薬で間接的にリンパ液を排出し、むくみを取ることでめまいの症状を軽減します。
薬品名(商品名) | 製剤名 | 効果 |
イソバイド® | イソソルビ卜 | 内耳のリンパ液を排出する |
副腎皮質ホルモン薬
ステロイド剤ともいいます。神経の炎症を抑えたり、内耳の代謝をよくする作用があります。
効果が期待できる反面、副作用が強いので短期間に限って処方されることが多い薬です。
薬品名(商品名) | 製剤名 | 効果 |
プレドニン® | プレドニゾロン | 古くから使用される最も標準的なステロイド薬 |
リンデロン® | べ夕メ夕ゾン | 長時間型で作用は強力 |
めまいを引き起こす薬
めまいを治療する薬とは反対に、副作用でめまいを引き起こす薬もありますのでご紹介します。
めまいを起こしやすい薬としては、降圧剤、抗てんかん薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、睡眠薬など様々なものがあります。
めまいの種類 | めまいを引き起こす副作用のある薬 |
難聴を伴う内耳障害 |
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中枢神経の障害 |
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脳、内耳循環不全 |
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薬によって生じるめまいは、浮動性めまいが多いです。降圧薬、抗不整脈薬、排尿障害治療薬などの不適切使用によってめまい、立ちくらみ、失神などを生じる場合が少なくありません
降圧薬
最も原因として考慮すべき薬剤であり、そのなかでもβ遮断薬は起立性低血圧を起こしやすく、ドキサゾシン(カルデナリン)なら1mgから開始し、4mgを上限とすべきです。
特に就寝前に服薬することで夜間トイレに行こうとして立ち上がったとき、あるいは排尿時に失神を起こすことがあります。またACE阻害薬またはアンジオテンシンn受容体拮抗薬(AB)などのレニン-アンジオテンシン系抑制薬に、降圧利尿薬を追加すると急激に血圧が下降してめまい、立ちくらみが生じやすくなります。
高齢者では収縮期血圧を急激に下げることで、やはりめまいが生じるために数週間かけてゆっくり血圧を下げていきます。
抗不整脈薬
β遮断薬は降圧薬以外に不整脈や心不全治療薬としても広く用いられている薬剤ですが、心拍数が40拍/分以下になると息切れやめまいを起こすことがあります。
徐脈作用はβ遮断薬本来の作用ですが、副作用として徐脈によるめまいなどの症状が出た場合には減量あるいは中止する必要があります。ただし、発作性頻脈自体の症状としてめまい、動悸が生じることもありますので注意が必要です。
排尿障害治療薬
β遮断薬であるナフトビジル(フリバス)やシロドシン(ユリ一フ)、タムスロシン(ハルナールD)などは血管拡張をもたらし起立性低血圧を起こす場合があります。特に降圧薬と併用する場合には注意が必要です。
睡眠薬、抗不安薬
高齢者では腎機能や肝機能が低下していることから、薬物の代謝排泄が遅延しているために、睡眠薬や抗不安薬の影響が残りやすくなっています。
特に睡眠薬の連用は翌日までその影響が残ることもあり、可能な限り避けるべきです。
抗アレルギー薬
抗ヒスタミン作用によって眠気、ふらつきが程度の差こそあれみられるので、自動車の運転などは避けるようにする必要があります。また自転車などに乗ることも避けた方がよいです。なお、多くの風邪薬には抗アレルギ一薬が含まれているため、注意が必要です。
市販のかぜ薬などでも副作用で、めまいを引き起こすこともあるので注意が必要です。
薬を飲んでいてめまいがおきた場合は、副作用でめまいが発生していることが疑われます。
薬もめまいの原因の一つと考え、医師に相談し、減薬や薬の変更を検討しましょう。