このページでは、私たちがめまいを感じるメカニズム、原因について、詳しくご説明していきます。
少し難しい話も出てきますが、私たちがどうしてめまいを感じるのか、どうして平衡に立っていられるのかを知ることで、めまいの原因を知ることで、めまいに対する漠然とした不安が和らぐはずです。
めまいの原因とは?
どうして耳鼻科の医者がめまいを研究するようになったのかというと、内耳が平衡感覚 (バランスをとる感覚)をつかさどっているからです。
しかし、私たちがバランスをとって、体を平衡に保っていられるのは、内耳の働きだけではありません。
「目」「耳(内耳)」「脳」「運動器官(筋肉・関節)」という4つの器官が支えています。
私たちの体はインプッ卜した情報が脳に伝えられ、脳がそれに基づいて指令を出して反応することで機能しています。
平衡感覚では、情報をインプッ卜するのは、「目」「耳(内耳)」「脳」「運動器官(筋肉・関節)」です。視覚からの情報と、内耳からの信号、それに筋肉や関節からの入力が脳に伝わり、平衡機能が維持されています。
目
最初の入力は、視覚からの情報です。自分が立っている位置、動いている方向などの情報を、視神経を通じて脳に伝えます。
きちんと見ることで、私たちは何かにぶつかることなく動いたり、よろけたときには体勢を立て直したりすることができます。
めまいの原因にとても関わりのある「耳」
2番目の入力は、耳のなかの「内耳」からの信号です。私たちがどのうな複雑な動きをしたとしても、地球上の動きは「回転角加速度」と「直線加速度」といぅ2つの運動パターンに分類することができます。
頭が回転する動きは「回転角加速度」と呼ばれ、上下や左右、前後への動きが「直線加速度」です。この動きを感じとるセンサーが内耳です。
ちょっと専門的になってきたので、ここで耳の構造についてご説明しましょう。
耳は、耳たぶや耳の穴、外耳道までの「外耳」、鼓膜やその後ろにある3つの小さな骨とそれを取り巻く部屋からなる「中耳」、その奥のかたい骨に包まれた半規管や蝸牛などの「内耳」に分けられます。
平衡機能に関係しているのは、内耳の半規管と耳石です。カタツムリのような形をした蝸牛は、聞こえに関係しています。
半規管の細い管の付け根に位置する膨大部のなかに〖膨大部稜〗とよばれる、加速度を感知するセンサーが存在します。
頭が回転したときには、半規管が回転して、膨大部稜が左右どちらかに動き、それに従って上部にあるゼラチン状の物質が曲がります。
この動きの信号が’前庭神経を伝わり、「回転角加速度」の情報として脳に伝えられます。
蝸牛と半規管の中間に位置する、力タツムリの殼のような球形嚢や卵形嚢(蝸牛と半規管の中間に位置する)のなかには、頭の傾きや直線運動を感知する「平衡斑」があります。
平衡斑は有毛細胞という細胞の上に、ゼラチン層があり、その上にカルシウムからなる「耳 石」が集まっているという構造になっています。
めまいの原因の多くは内耳の異常
平衝斑は垂直な向きに配置されているため、上下や左右、前後に動く直線運動を行ったり、頭が傾いたりしたときには、有毛細胞が引力に対して動かされ、耳石がある部分とのズレが生じます。
すると有毛細胞からの信号が前庭神経を通じて脳に伝わり、体の傾きが情報として認識されます。
耳が平衡機能をつかさどっているといわれるのは、半規管が回転運動を感知し、平行斑が傾きを感知しているためです。
そして、めまいの原因はこの内耳の異常が半数以上を占めています。
良性発作性頭位めまい症は、リンパ液の異常で耳石がはがれ落ちてしまうことが原因で起こると考えられていますし、メニエ—ル病は蝸牛内のリンパ液が過剰になることによりめまいの発作が起こるとされています。
つまり、内耳に備わっているこの2つのセンサーが正常に作動していれば、あらゆる動きに対する信号が前庭神経を通じて脳にきちんと伝わり、めまいを生じることなく、平行衡能を維持することができるはずなのです。
筋肉や関節
さらにもうひとつ、筋肉や関節からの情報も忘れてはなりません。
例えば、自分が立っているのか、座っているのかなど、いまどのような姿勢をとつているのかの詳細な情報は、 筋肉の伸び縮みや関節の曲がり具合などが、脳に信号として伝えられているのです。
視覚、内耳、筋肉や関節からの3つの「入力」システムから得た情報が、脳幹・小脳を経て、大脳皮質に情報として送られ、最終的に統合、調整されてはじめて、「姿勢を保持したり、体を動かしたりするときのバランスをとる」ための、指令が「出力」されます。
めまいの原因は4つの器官のバランスの崩れ
3つの入力と出力、つまり、目、耳、脳、運動器官という4つの系統のどこかに異常があると、出力が正しく作動せず、めまいというグルグル、フワフワなどの異常な感覚が生じてしまうのです。
器官のバランスが崩れることがめまいが発生する原因になります。
私たちが平衡機能を維持できているのは、複雑な入力と出力のシステムが備わっているからです。目、耳、脳、運動器官のどこかに異常があるとめまいが生じる原因になるのです。